突然キレる人の頭の中

ここでは、私たちの決断に関係する感情の場について述べましょう。脳の横の方にある側頭葉の奥に、海馬と扇桃という場所があります。このうち、私たちの感情に関係するのは、扇桃です。動物は、扇桃を刺激されると激しい恐怖や怒りの症状を示します。ネコなどは毛を逆立うなむて、聡り声を上げ、背中を丸め、いまにも闘うように歯と爪を剥き出します。一方、一届桃を除去されると、動物は非常に大人しくなり、日頃は激しく反応する天敵の姿を見ても恐れなくなります。たとえば、普通はサルはヘビに出会うと必死で逃げようとしますが、肩桃を除去されると、ヘビを捕まえ、珍しいものでも見るように眺め、食べようとします。「異常に柔和になった」と評した人もいます。では、人間ではどうでしょうか。ある殺人犯は普段はじっに大人しく穏やかな性格です。ところが突然、まるで人が変わったように凶暴になり、その辺にあるもので壁を叩き、周囲の人に物を投げはじめます。

誰かそばにいれば、激しく殴りかかり、ときには首を絞めて殺そうとまでします。ところが発作が終わったとたん、ケロリとして、談笑を始めるのです。ギターを弾きながら歌っていた女性が、急にそのギターで壁を激しく打ちつけ、ギターをめちゃくちゃにしてしまったということもありました。この女性も、やはり発作が治まると、再び楽しそうに歌いはじめたといいます。このような人の脳波の波の出所を調べると肩桃であることが多いのです。先ほど紹介したペンフィールドなどは、こうした人の頭蓋を開けて一届桃を取り出しました。その肩桃を丹念に調べると、多くの場合傷があったのです。それは産まれたときの難産による脳の怪我であったり、先天的な障害であったりします。そして、一届桃を副出された患者は二度と発作を起こしませんでした。では、一局桃を副出された患者は、その後どうなったのでしょう。動物と同じように、患者は怒りや恐怖を示さなくなったのです。それとともに周囲のこと、あるいは自分自身のことに無頓着になり、自分のことをまるで他人のように見るようになりました。これは、エリオットのような前頭前野の障害の患者の症状と非常に似ています。
